第三種冷凍機械責任者 2024年(R6)保安管理技術-問2

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問題

次のイ、ロ、ハ、ニの記述のうち、冷凍サイクルおよび熱の移動について正しいものはどれか。

イ.二段圧縮冷凍装置の利点は、一般に、低段圧縮機から出た冷媒ガスを一度冷却しているので、高段圧縮機の吐出しガス温度が高くならないこと、また、圧縮機の損失を減らすことができ、圧縮機効率の低下を防ぐことができることである。
ロ.理論冷凍サイクルの成績係数は、理論ヒートポンプサイクルの成績係数よりも1だけ大きな成績係数の値となる。
ハ.熱の移動には熱伝導、対流熱伝達、熱放射(熱ふく射)の三つの形態がある。このうち固体壁表面とそれに接して流動する流体間の伝熱作用を熱伝導という。
ニ.水冷却器の交換熱量の計算において、冷媒と冷却水との間の温度差が流れ方向の場所によって変わるので、平均温度差には、これらの変化を考慮した対数平均温度差を用いる。なお、近似値として算術平均温度差を用いることもある。
1.イ、ロ
2.イ、ニ
3.ロ、ハ
4.ロ、ニ
5.ハ、ニ

回答

正解は(2)

イ.二段圧縮冷凍装置の利点は、一般に、低段圧縮機から出た冷媒ガスを一度冷却しているので、高段圧縮機の吐出しガス温度が高くならないこと、また、圧縮機の損失を減らすことができ、圧縮機効率の低下を防ぐことができることである。
→正しい
二段圧縮冷凍装置は、単段圧縮冷凍装置よりも低い温度(-30℃以下)を得るために、低段圧縮機と高段圧縮機の2台の圧縮機を使い、段階的に圧縮を行うことでさらに高圧の冷媒を作ることができるシステムです。
具体的には、低段圧縮機で中間圧力まで圧縮した冷媒を、中間冷却器を使って熱を除去します。熱を除去された中圧の冷媒は、高段圧縮機でさらに圧縮されて高圧になります。このとき、冷媒は中間冷却器によって一度熱を除去されていますので、吐き出しガスの温度はそれほど高くなりません。
これにより圧縮機の損失を減らすことができ、圧縮機の効率の低下も防ぐことができます。

ヘタ・レイ

2台の圧縮機と中間冷却器の存在、高圧の冷媒を取り出せるけどガス温度は高くならないという特徴は必ずおさえておきましょう。

ロ.理論冷凍サイクルの成績係数は、理論ヒートポンプサイクルの成績係数よりも1だけ大きな成績係数の値となる。
→不適当
成績係数(COP)の関係は、理論ヒートポンプの成績係数が、理論冷凍サイクルの成績係数よりも常に1 だけ大きくなります。

ヘタ・レイ

冷凍サイクルは冷却を目的としているシステムで、ヒートポンプサイクルは加温を目的としています。
サイクルのイメージが記憶出来ていれば、「加温」、つまりヒートポンプサイクルのほうが成績係数が良くなることはわかるはずです。

ハ.熱の移動には熱伝導、対流熱伝達、熱放射(熱ふく射)の三つの形態がある。このうち固体壁表面とそれに接して流動する流体間の伝熱作用を熱伝導という。
→不適当

熱の移動の三つの形態(熱伝導、対流熱伝達、熱放射)がある点は正しいです。しかし、固体壁表面とそれに接する流体間の熱の移動は**対流熱伝達(または熱伝達)**の定義です。熱伝導は、主に固体内部を熱が移動する現象を指すため、記述の定義が誤っており、不適当です。

ニ.水冷却器の交換熱量の計算において、冷媒と冷却水との間の温度差が流れ方向の場所によって変わるので、平均温度差には、これらの変化を考慮した対数平均温度差を用いる。なお、近似値として算術平均温度差を用いることもある。
→正しい

熱交換器(水冷却器)では、流体の温度は流れ方向に沿って変化します。この変化を正確に反映し、交換熱量を計算するために、対数平均温度差 (LMTD) を用いるのが熱力学上の原則です。近似として算術平均温度差を用いることがあるという点も含め、記述は正しいです。

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